「あー暑いねえ。冷房いれようか」


 棗と絵衣理は部屋に戻り、冷房を入れた。


「浴衣は可愛いけど、暑いねえ。ナツ君、ちょっと待っててね」


「え?」


「へ?」


 棗が絵衣理の腕を掴む。


「絵衣理」


「はい」


 棗が真面目な顔をして言った。


「浴衣で、しよっか。というか、したい」


 絵衣理が意味を察して赤くなる。


「バカっバカっ」


「何とでも言ってください」


 抵抗する絵衣理をひょいと抱え上げ、ベッドに転がした。


「ひゃ」


 棗がおおいかぶさる。


「帯は外さなくても、出来るところが、いいところ」


 棗が股の間に足を割り込ませてきた。


「あ、さすがに下着をつけてるか」


「当たり前でしょっ」


「いや、古来は着物の下は下着をつけないという・・・」


「いつの時代の話よっ」


 棗が絵衣理の口を塞ぐ。


「ん」


 両手で、絵衣理の両手を封じた。


「ん、ん」


 棗が舌を絡ませる。くちゅ、くちゅ、という音が聞こえた。


 ぷは、と絵衣理が息をする。


「ナツ君、ずるい」


「なにが」


「・・・なんか」


「していいってこと?」


「・・・」


 絵衣理は無言でそっぽを向いた。


「じゃあ、遠慮なく、いただきます」


 浴衣の裾の中に手を入れる。絵衣理の豊満な胸に触った。


「・・・絵衣理?」


「なに?」


「・・・・・・また大きくなった?」


「~~~ナツ君が触るからあ」


 絵衣理が泣きそうな顔で言った。


「もうこれ以上大きくなった、私、制服入らなくなるよ。それとね、下着だって、高いんだからねっ。おっきくなるごとに可愛いのなくなるしっ探すの大変なんだからねっ」


「すみません」


 ぽふっと棗は絵衣理の胸に顔をうずめる。


「あー、気持ちいい、幸せ」


「・・・おっぱい星人」


「絵衣理さん、そういう単語どこで覚えてくるの。だめでしょ」


「ナツ君が知らないうちに学んでるんですぅ」


「エッチなこととか?」


 絵衣理はかあっと赤くなる。


「ばかっ」


「どうせ知識があるんなら、経験にいかしてほしいなあ」


「ばかっばかっ。んっ」


 また、棗が絵衣理の唇を塞いだ。そして、右手で絵衣理の股をまさぐる。


「絵衣理、今日可愛かったよ」


 棗が絵衣理の耳元で囁く。


「・・・なら脱がすな」


「全部は脱がせない。半端なのが興奮する」


 棗は至極まともな顔でそう言った。


 

 

「絵衣理、大丈夫?」


「ん・・・」


 絵衣理はベッドの上でぐったりとしていた。結局、2回した。もう髪も浴衣もぐちゃぐちゃだ。


「なんか・・・今日激しかった」


「いや、つい興奮してしまって・・・」


 棗が優しく絵衣理の頬をなでる。


「絵衣理、おいで」


 棗がまくらもとに座り、棗のあぐらの中に絵衣理が座った。まだ頭がぼおーっとする。背中が温かくて、気持ちいい。


「絵衣理、左手出して」


「んー」


 半分、うつらうつらしながら、左手を差し出した。


「ちょっと手、パーにして」


「んー」


 何か、感触があって、パチリと目を覚ました。左手の薬指には、指輪が収まっていた。


「へ?へ?」


 絵衣理が棗を見る。


「安物ですけど。出会って一周年ですし」


「え・・・いや。その、・・・ありがとう」


「で、ちょっとお願いがあるんですが」


「はい」


「つけてくれませんか?」


「ん?」


 棗がもう1つ、指輪を出した。絵衣理は意味を悟る。


「あ・・・はい」


 おそるおそる、丁寧に指輪を受け取ると、棗の左手の薬指に指輪をはめた。


「これって・・・お揃い?」


「そ。いや?」


 絵衣理はぶんぶんと首を振る。


「嬉しい。でも・・・私、何も用意してないよ」


「絵衣理、バレンタインにマフラー編んでくれたじゃん」


「でもナツ君、お返しくれたよ?」


「いーの、それで。俺がしたかったんだから」


 棗が絵衣理に抱き付く。


「へへー」


 絵衣理が照れながら、笑う。


「お揃いだあ」


「うちの学校が校則ゆるくて良かった」


「え、人前で見せていいの?」


「人前で見せるんです。男よけです」


「私、もてないよ?」


「・・・」


 棗はあえて、答えなかった。


 ひょい、と絵衣理の左手を持ち上げ、見た。


「あー・・・」


「ん?」


 棗が後ろから絵衣理をぎゅっとする。


「いつか、本物あげるから。待ってて」


 耳元で囁かれた。