ザコペンギンのblog

あなたのすぐそばにザコペンギンはいます(鳥類ではありません) そんなザコペンギンの日常を描きます。よければ暇つぶしにでも。そして発見情報をお待ちしております。 あと、私は精神病患者です。小説と同じくらいまたはそれ以上に病状、薬のことなど忘備録の意味を込めて書いています。双極性Ⅱ型(いわゆる躁鬱病)ですので、鬱の時の日記はお目汚しです。「精神」と書いてあるブログは閲覧注意です。

カテゴリ: ザコペンギンについて

 るんたったるったったかりんがいく

 るんたったるんたった黒パグがいく

 今日はどこに行こう? そうだ公園に行こう

 公園では弟ペンギンがくるくるまわってました。


 こんにちわ、かりんちゃん

 こんにちわ

 遊ぼうよ

 なにして遊ぶ?

 かけっこしようっ

 よーい、どん 

 ぴゅーっ(かりん)

 ぺったらぺったらどて ぺったらぺったらどて(弟)

 あれー?

 あれー?

 うまくはしれないや

 はっはっは

 通りかかった大きな黒い犬が笑いかけます。竹中直人ばりのいい声です

 ぺんぎんくんはね、走るのは遅いけど、海の中で泳ぐのはとても速いんだよ。

 へえー

 へえー

 今度ゆみちゃんたちに連れて行ってもらおう

 じゃあおなかすいたから帰るね

 うん、ばいばい


 ゆみちゃんー、ただいま

 どこ行ってたの

 公園で弟君と追いかけっこしてたの

 勝負になった?

 ならなかった。そしたらね、黒い犬さんがいいこと教えてくれた

 あんたも黒いじゃん

 なんかね、大きくて、毛がくるくるしてた

 ああ、あそこのでかいプードルか

 海行きたい。弟君、泳ぐの早いんだって

 ああ。ザコは早いだろうけど・・・あんた前海行ったことあるじゃん。

 えっ

 波打ち際にびびって泳がなかったじゃん

 ええ・・・

 かりん、ザコ並にもの覚え悪いこと判明

「ふえ~」

 ザコペンギン達家族は公園で日向ぼっこをしていました。
 
 花が咲き、暖かい日差しに体を撫でるくらいの風が心地よいです。

 しかし、いつも難問が控えています。

 弟ペンギンはベンチに登れないのです。だから、みんなでうんしょ、うんしょ、となんとかして引っ張り上げます。

「そろそろご飯だねえ」

「そだねえ」
 
 また難問が生じます。弟ザコペンギンは、ベンチから降りられないのです。

 ゆみちゃん達が散歩している時は助けてくれるのですが、今日は通りかかりません。

「よしっ」
 
 ザコ悪ペンギンが意を決します。ベンチの前に前のめりになります。

「弟、俺を踏んで、下に降りろっ」

「え・・・でもおにいしゃん、痛いよ?」

「お前くらい軽かったら、大丈夫だ。さあ、こい」

 弟はひょいっと勢いよく飛びました。

 ぼんっ

「ぎゃっ」
 
 あまりにも勢いよく飛んできたので、ザコ悪は前のめりに倒れこみました。弟は見事に着地しました。

「これたのしー、たのしー。もう一回」

「だあめよ」

 母ペンギンが優しく言います。

「お兄ちゃん、嫌がるから、一日一回よ」

「えっ」

 ザコ悪に動揺が走ります。一日一回これをせねばならんのかと・・・・。


 それ以来。

 ゆみちゃん達がカリンを散歩させていました。

「あ、ザコ達が日向ぼっこしてる」

「おにいしゃん、いくよー」

「お・・・おお、どんとこいっ」

 ぼよん。

 どて、とザコ悪が前のめりにこけます。

「なに?新しい遊び?」

 るんたった るんたった かりんがゆく

 るんたった るんたった くろぱぐがゆく

 きょうはなにをしようかな そうだおさんぽにいこう

 こうえんにいきました ザコペンギンがくるくるしてました

 こんにちわ ザコペンギンさん、なにしてるの?
 
 ああ、かりんちゃん くるくる回ってるの。いっしょにまわる? 

 うん

 くるくるくるくる くるくるくるくる

 おげぇー

 わっかりんちゃんどうしたの?

 きもちわるい・・・

 だいじょうぶ?

 だいじょうぶ なんかおなかすいたからかえるね

 うん、ばいばい

 るんたった るんたったかりんがゆく

 るんたった るんたったくろぱぐがゆく

 ただーいま

 あんたどこいってなのぉぉぉ

 ゆみちゃんなみだめ

 かってにでちゃだめでしょ なにしてたの

 こうえんでザコペンギンさんとくるくるしてた

 ・・・あしたザコ達ぼこーる

 ゆみちゃん、おなかすいたよ

 あんた1時間前に朝ごはん食べたばっかでしょ。ゆうがたまでないよ

 えー・・・

 くーりゅるるる

 ・・・ねよう

 おふとんふかふかーしあわせー

 ぬくぬく うとうと ぬくぬく うとうと

 はっ

 ゆみちゃーん、ゆうがたになった?

 まだ昼よ

 えー・・・

 ゆみちゃん、昼食を食べる

 だだだだっ くるくるくるくる ほしいなあー ほしいなあー

 人間のもんだから、たべれないの

 くるくるくる だんだんだん

 あー、もうきゃべつやるよ

 わーい 
  
 しゃくしゃくしゃく

 ・・・なんか余計おなかへった

 ほら、お昼ね一緒にしてやるから、ねなさい

 はーい

 ふとんあったかーい。ぬくぬく

 ゆみちゃんのうえにのる どかされる のる どかされる のる どかされる のる かりんっ

 あきた

 ゆみちゃんと一緒におふとんの中へ
 
 ふう、ゆみちゃんといっしょだとあんしん あんしん

 くうくう

 はっ

 ゆみちゃーん、ごはん

 はいはい

 わーい くるくるくるくる

 かりん、じゃまっ ほら

 わーい

 かっかっかっかっかっか

 ふう、あれ?もうなくなっちゃった

 明日の朝ごはんがたのしみだなあ

「ゆみちゃあん、ゆみちゃあん」


 ゆみちゃんちの前で父の声がしました。ゆみちゃんがドアをあけると、父がいました。


「どした?」


「なんかねーおなかがかゆいの」


「とりあえず家に入って。寒いから」


 父を家にいれます。


「どうしのかなあ」


 ゆみちゃんが父の様子を見ます。


「どこがかゆいの」


「はらまきしているとこ」


「ちょっと外してみ」


 父が腹巻を外すと、白いおなかの一部が赤くなってました。


「・・・? りょーう」


 ゆみちゃんがりょうへいさんを呼びます。


「なに?」


「父が・・・」


 りょうへいさんが父を見て、言います。


「これ、あせもじゃね?」


「ああ。毛糸があわなかったのかなあ」


 ゆみちゃんは納得しました。


「ニベアでもぬっとくかあ」


 ゆみちゃんが薬箱の中から薬を取り出し、父のおなかに塗ってあげました。


「もう腹巻はしちゃだめだね」


「だめなの・・・」


 父はしょんぼりしながら帰っていきました。


 父の後ろ姿を見て、ゆみちゃんは


「ちょっと出かけてくる」


と言いました。


 


 次の日


「父―」


 ゆみちゃんとりょうへいさんがザコペンギン達の家にやってきました。


「ゆみちゃんとりょうへいさんだー」


 ザコペンギン達がわらわら出てきます。


「ゆみちゃん、なあに?」


 父が言います。


 ゆみちゃんはぼす、となにかを父に被せました。


「なにこれ、あったかーい」


 それはフリースで作った腹巻でした。


「これなら大丈夫かなーと思って」


「わーい。わーい」


 父はぴょんぴょんと喜びました。


「フリースはいいけどさあ」


 りょうへいさんは言います。


「父にハート柄はどうかと思うぞ」

 ゆみちゃんが、天気予報を見ていると、週末は冷え込む、と言っていました。


「そっかー寒くなるんかー」


 何気なくそういって、何か思いついたのかごそごそと押入れの中から何かを探しました。


「なにしてるん?」


 ゆみちゃんが作業をしているとりょうへいさんが声をかけてきました。


「あーちょっとねー」


 こういう時は何を言っても無駄なので、りょうへいさんは放っておきました。


 

 次の日。休日。

 
ザコペンギン達がゆみちゃんのおうちに来てテレビを見ていました。ゆみちゃんはその後ろで作業をしています。


「うし、できた」


 ゆみちゃんは満足そうに仕上げたそれを見ました。


「弟」


 ゆみちゃんが呼びます。


 弟がぎゅいんと振り返ります。単体でもこええなと思いました。


「なに?」


「ちょっとこっちこい」


 

 

「あははははっ」


 隣の部屋で仕事の準備をしていたりょうへいさんはゆみちゃんの笑い声に居間にいきました。


「なにした?」


「あれ、あれ」


 ゆみちゃんは弟を指さします。


 弟はきょとんとした表情です。そしてなにかで縛られているようでした


「お前、あれ作ってたの?」


「そう、腹巻」


 ゆみちゃんは弟に腹巻を毛糸で編んであげたんですが、それをそのままぼす、と被せただけでわざと翼を出さなかったので腹巻に縛られた状態になっているのです。


 ほかのザコペンギン達は初めて見る弟の姿にぽかんとしています。


「これ・・・動けない。あったかいけど・・・うごけない」


 弟はどうしていいかわからず、りょうへいさんをじっと見ていました。


「もう弟はずっとこのままだよ~」


 ゆみちゃんが笑いながら言います。


「え?」


「え?」


「え?」


 ザコペンギン達に動揺が走ります。


「どうしよう。どうしよう」


「いいじゃん。別に。コーンポタージュスナックはくちばしでしょ? くるくる回るのに翼いらないじゃん」


 ザコペンギン達はしばらく考え込みました。


「そっか」


「そっか」


「そっか、じゃないだろうが」


 りょうへいさんがゆみちゃんの頭を軽くはたきました。


「ちっさいのにかわいそうなことすんなよ」


 りょうへいさんは弟のところに行き、腹巻から翼を抜いてあげました。


「あ、動ける」


 弟は翼をぱたぱたとしました。


「うごけるーあったかいー」


「ちぇー。あれで冬超えさせてかったのに」


「どこまで鬼なんだお前は」


 そしてゆみちゃんはふと気づきました。ザコ悪ペンギンがうらやましそうに弟を見ていることに。


「ザコ悪、あんたもほしい?」


 ザコ悪ペンギンはぶんぶんと首を振ります。


「いや、俺強いんで。平気ですし。うらやましいとか俺の好きな色とかそんなこと全然思ってないです
し」


 ゆみちゃんは苦笑しながらはいはい、といいました。

 

 

 

 次の日


 母が一匹でやってきました。


「一人とか珍しい」


「あのね、昨日の弟につくってくれたの、私も作れる?」


「あんたたち手先が器用だから作れるんじゃないかな。中入りな」


 ゆみちゃんは母を部屋に入れ、編み物セットを出してきました。


「これが編み棒」


「あみぼう」


「これが毛糸」


「ふかふか。けいと」


「んでこうもって」


 ゆみちゃんが母にゆっくりと教えていきます。母は頷き、頷き一生懸命覚えました。


 出かけていたりょうへいさんが帰ってきました。


「あれ?母が一人で来てる」


「今日はおんなのこスタイル」


 ゆみちゃんが理解不能のことを言っていましたが、りょうへいさんは母が一生懸命毛糸と格闘している姿を見て納得しました。


「編み物・・・できるの」


「呑み込み早いよ」


「根本的に翼でしょ」


「見てみれば?」


 編み物に夢中でりょうへいさんにも気づかない母の手元を見て、その編み目の美しさに驚きました。


「なんで?」


「ひゃあ」


 近くで声を出されて、母はびっくりしました


「あ、驚かせてごめん」


「あ、りょうへいさん。おかえりなさい」


「編み物してるの?」


「うん。お父さんとお兄ちゃんに作ってあげるの。ほら」


「うん、きれいだね」


 お世辞ではなく、編み目が本当にきれいだったのです。


「そろそろ暗くなるわよ」


「今日は帰る・・・これどうしよう」


「ああ、ちょっと待ってて」


 りょうへいさんが部屋へ行ってすぐ戻ってきました。


「これに入れていきな」


 も○吉のお煎餅をいれる大きい缶でした。


「ありがとうー」


「母、これ」


 それは編み物の本でした。


「みてみ」


「はあい」


 
本と缶を両脇に抱え、よたよたと母は帰っていきました。


「本とか読めるの?」


 母の後ろ姿を見送りながら、りょうへいさんが言います。


「図と写真が中心だから見れるかなあと思って」

 


 

 数日後 


 ゆみちゃんとりょうへいさんが公園で花鈴を散歩につれていると、声を掛けられました。


「ゆみちゃんゆみちゃん」


「んー?」


 振り返るとザコペンギン達が並んでました。


「お」


 ゆみちゃんは気づきました。


「腹巻してるじゃん」


 ザコ悪ペンギン、父は腹巻をしていました。


「え、うわ」


 ゆみちゃんが近づいてみて驚きました。


「こまかっ」


「どれ?」


 りょうへいさんも近づきます。


「これ・・・松?」


「松。すっげー私できないわ」


 父の腹巻には松が、ザコ悪ペンギンの腹巻には竹の飾り編みがされていました。


「がんばったねー、母」


「あったかいよー」


「あったかいです」


 
2匹がぱたぱたしています。


 ゆみちゃんが何かをごそごそと出しました。


「ほら、母」


 ぽふ、と母に載せました。


「これ・・・腹巻?」


「どうせあんたのことだから自分の分は作ってないと思って」


 見ると母だけ腹巻をしていません。


「わ・・・わ。ありがとうー」


 母は腹巻をもってぴょんぴょんとはねました。


「あんたのには及ばないけど」


「うれしいー。ありがとうー」


 父が母に腹巻をつけてあげます。


「あったかい。あったかい」


 みんなでぴょんぴょんと飛びながら、家(段ボール)へと向かっていきました。


 その後ろ姿を見ながら、りょうへいさんがぼそ、といいました。


「あれ、俺の分だと思ってた」


「ほしかったの?!」

↑このページのトップヘ