ザコペンギンのblog

あなたのすぐそばにザコペンギンはいます(鳥類ではありません) そんなザコペンギンの日常を描きます。よければ暇つぶしにでも。そして発見情報をお待ちしております。 あと、私は精神病患者です。小説と同じくらいまたはそれ以上に病状、薬のことなど忘備録の意味を込めて書いています。双極性Ⅱ型(いわゆる躁鬱病)ですので、鬱の時の日記はお目汚しです。「精神」と書いてあるブログは閲覧注意です。

カテゴリ: 緑葉学園

 残暑が厳しい中での2学期。推薦組は追い込みに入る。


「絵衣理―テスト結果、どうだった?」


 夏休み明けに、全学年一斉に実力テストが行われる。


 絵衣理がにこっと笑った。


「綾女の成績には及ばないけど、良好。この調子なら、大丈夫」


「そうかー。よかったなー。・・・で、あえてつっこまなかったけど」


「ん?」


 絵衣理の左手をばっと持ち上げる。


「これ、高瀬から?」


「あ、うん」


 絵衣理は顔を赤くする。


「絵衣理の誕生日でもないのに?」


「あの・・・出会って・・・一周年ということで」


「あまっ」


 綾女が叫んだ。


「なんだー、どうしたー?」


「絵衣理がオトコから指輪もらったー」


「ちょっ、綾女」


 絵衣理のクラスはほとんどが2年からの持ち上がりだ。そのため、勝手知ったる風になっている。


「お、どれ見せてみ」


「あー左手、薬指にしてるー」


 女子達がわらわらと群がる。


「へえ、シンプルなデザインだけど、可愛いじゃん」


「高瀬、センスあるな」


 皆、言いたい放題だ。


 そして、
HRになるまで、いじられまくっていた。


 

 

 帰り道、絵衣理と棗は手を繋いで帰っていた。


「もうすぐ、文化祭だね。ナツ君のクラスは何やるの?」


「和風カフェ」


「あー、今ブームだもんねえ」


「なんか、女子が男子に着物着せたいらしい」


「あ、いいね、それ。ナツ君も着るの?」


「俺は裏方」


「あ、調理?」


「ん」


 そこで、絵衣理は気づく。


「大地も調理でしょ?」


 棗は驚いた。


「なんでわかるの?」


「大地ねー、ちっちゃい頃は私と一緒にお菓子作ってたんだよー。結構センスあった。だからかなあ、と思って」


「・・・」


「?ナツ君?」


「なに?」


「なんか、顔が怖いよ」


 棗ははっとする。


「ごめん」


「なんか怒らせるようなことした?」


「いや。・・・それより、文化祭月間、入ったら3年は午前中でしょ?帰る?」


「図書室で勉強しとく。ナツ君待ってる」


「そう。遅くなるようだったら、ラインするから、先帰ってて」


「はあい」


 棗は絵衣理の手を見た。指輪が光っている。なんとなく嬉しくなって、棗は突然絵衣理を抱きしめた。


「にゃっ」


 

 


(和風カフェかあ~)


 図書室で勉強しながら、絵衣理はぼんやりと考えてた。


(いいなあ。楽しそうで。お菓子にするなら抹茶系だよね。クッキーも抹茶味とか、パウンドケーキに小豆いれてみるとか)


 ふっと左手が視界に入った。そっと、指輪をなでる。


(本物・・・)


 本物とは・・・その、つまり・・・


 絵衣理はばっと教科書で顔を隠した。


(いかんっにやけるっ)


 その時、携帯のバイブが鳴った。ラインだ。


「ナツ君からだ」


“ヘルプ。調理室来て”


「?」


 

 

「あ・・・本当に、ごめん」


 調理室に行ったら、何故か憔悴しきった棗がいた。


「え・・・なにごと?」


「夏掛せんぱぁぁぁぁいっ」


 いきなり女子達に叫ばれて、絵衣理はびびった。


「助けてくださぁい」


「高瀬君、鬼なんですぅ」


 女子達が口々に言う。


「なにごと?」


 棗がはあ、とため息をつく。


「うち、和風カフェにするって」


「うん、聞いた」


「それで、今日、試しに作ってみようとしたわけよ・・・そしたら、こいつら使えないんだわ」


「使えないってなによっ」


「あんたの教え方が悪いんでしょっ」


「まかせとけって大見栄きったのは誰だよっ」


「まあまあ」


 なんとなく、状況が読めて、絵衣理は皆を宥める。


「失敗、しちゃったの?」


「とにかく中にっ」


 絵衣理はぐいぐいと中に連れていかれた。


「あー・・・こげた匂いするねえ」


「膨らまないんですっシュークリームがっ」


「こっちはかき混ぜてたら、べとべとになってくるんですっ」


「こっちはケーキが真中が生焼けにっ」


「まあまあ」


 絵衣理は落ち着いて言った。


「一つの種類ごとに、問題点を全部あげていって。教えられる範囲で教えるから。わからなかったら、ネットで調べればいいし。とにかく落ち着いて。まだ時間があるから」


 絵衣理はあいている椅子に女子達を座らせ、ルーズリーフに問題点を書き出していく。


「ケーキが生焼けならね、焼けた頃に上にアルミ箔を置くといいよ」


「材料がべちゃべちゃになるのは・・・」


「あー多分、それね。一気に大量生産しようとしたでしょ?どっかで分量間違ったんじゃないかな。面倒くさくてもね、一回一回の量で作る方が確実」


 絵衣理がさくさくと質問に答えていく。


「お前の彼女、女神様や・・・」


 それを傍目で見ながら、男子が言う。確かに、絵衣理は嫌な顔一つせずに、後輩の質問に丁寧に答えている。


「いーなあ、あんなに巨乳でお菓子作り得意で、頭もいいとか」


「・・・運動神経ないぞ」


「それがまた可愛いじゃんっ」


 絵衣理があらかた質問に答え終えたところで、きょろきょろとした。そして見つける。


「こらぁっ大地っ」


 こそこそと今まで隠れていた大地がびくっとなる。絵衣理がつかつかと大地に近づき、首ねっこを掴んだ。


「あんたっ私が叩き込んだでしょっ。あんたなら、こんくらいわかるでしょっ。せっかく調理班入ったんだから、その腕披露しなさいよっ」


「・・・絵衣理、うざい」


「呼び捨てにすんなっ」


「えー摺木君、お菓子作れるの?!」


 女子から声が上がる。絵衣理は自慢そうに言った。


「私が仕込みました。ケーキもシュークリームもどんとこい」


 大地は面倒くさそうにため息をついた。


「ほらっ指導っ」


 絵衣理が大地をぽん、と女子の中に放り込む。女子達はきゃあきゃあ言いながら、作業に戻った。


「お疲れ」


 棗が声をかける。


「ナツ君・・・。ナツ君がいながら、どうしてこんな事態になったの?」


「おれ、飲み物系の担当だから。目を離してるスキにこうなって・・・収拾つかなかった。ごめん」


「いいよお。いい息抜きになったし」


「それより、あれ、いいの?」


「あれ?ああ、大地。いいんじゃない?あいつ、無愛想だから多少もまれたら、愛想も増すでしょう」


 棗はなんだか大地が可愛そうになりながら、大地を見ていた。

「あー暑いねえ。冷房いれようか」


 棗と絵衣理は部屋に戻り、冷房を入れた。


「浴衣は可愛いけど、暑いねえ。ナツ君、ちょっと待っててね」


「え?」


「へ?」


 棗が絵衣理の腕を掴む。


「絵衣理」


「はい」


 棗が真面目な顔をして言った。


「浴衣で、しよっか。というか、したい」


 絵衣理が意味を察して赤くなる。


「バカっバカっ」


「何とでも言ってください」


 抵抗する絵衣理をひょいと抱え上げ、ベッドに転がした。


「ひゃ」


 棗がおおいかぶさる。


「帯は外さなくても、出来るところが、いいところ」


 棗が股の間に足を割り込ませてきた。


「あ、さすがに下着をつけてるか」


「当たり前でしょっ」


「いや、古来は着物の下は下着をつけないという・・・」


「いつの時代の話よっ」


 棗が絵衣理の口を塞ぐ。


「ん」


 両手で、絵衣理の両手を封じた。


「ん、ん」


 棗が舌を絡ませる。くちゅ、くちゅ、という音が聞こえた。


 ぷは、と絵衣理が息をする。


「ナツ君、ずるい」


「なにが」


「・・・なんか」


「していいってこと?」


「・・・」


 絵衣理は無言でそっぽを向いた。


「じゃあ、遠慮なく、いただきます」


 浴衣の裾の中に手を入れる。絵衣理の豊満な胸に触った。


「・・・絵衣理?」


「なに?」


「・・・・・・また大きくなった?」


「~~~ナツ君が触るからあ」


 絵衣理が泣きそうな顔で言った。


「もうこれ以上大きくなった、私、制服入らなくなるよ。それとね、下着だって、高いんだからねっ。おっきくなるごとに可愛いのなくなるしっ探すの大変なんだからねっ」


「すみません」


 ぽふっと棗は絵衣理の胸に顔をうずめる。


「あー、気持ちいい、幸せ」


「・・・おっぱい星人」


「絵衣理さん、そういう単語どこで覚えてくるの。だめでしょ」


「ナツ君が知らないうちに学んでるんですぅ」


「エッチなこととか?」


 絵衣理はかあっと赤くなる。


「ばかっ」


「どうせ知識があるんなら、経験にいかしてほしいなあ」


「ばかっばかっ。んっ」


 また、棗が絵衣理の唇を塞いだ。そして、右手で絵衣理の股をまさぐる。


「絵衣理、今日可愛かったよ」


 棗が絵衣理の耳元で囁く。


「・・・なら脱がすな」


「全部は脱がせない。半端なのが興奮する」


 棗は至極まともな顔でそう言った。


 

 

「絵衣理、大丈夫?」


「ん・・・」


 絵衣理はベッドの上でぐったりとしていた。結局、2回した。もう髪も浴衣もぐちゃぐちゃだ。


「なんか・・・今日激しかった」


「いや、つい興奮してしまって・・・」


 棗が優しく絵衣理の頬をなでる。


「絵衣理、おいで」


 棗がまくらもとに座り、棗のあぐらの中に絵衣理が座った。まだ頭がぼおーっとする。背中が温かくて、気持ちいい。


「絵衣理、左手出して」


「んー」


 半分、うつらうつらしながら、左手を差し出した。


「ちょっと手、パーにして」


「んー」


 何か、感触があって、パチリと目を覚ました。左手の薬指には、指輪が収まっていた。


「へ?へ?」


 絵衣理が棗を見る。


「安物ですけど。出会って一周年ですし」


「え・・・いや。その、・・・ありがとう」


「で、ちょっとお願いがあるんですが」


「はい」


「つけてくれませんか?」


「ん?」


 棗がもう1つ、指輪を出した。絵衣理は意味を悟る。


「あ・・・はい」


 おそるおそる、丁寧に指輪を受け取ると、棗の左手の薬指に指輪をはめた。


「これって・・・お揃い?」


「そ。いや?」


 絵衣理はぶんぶんと首を振る。


「嬉しい。でも・・・私、何も用意してないよ」


「絵衣理、バレンタインにマフラー編んでくれたじゃん」


「でもナツ君、お返しくれたよ?」


「いーの、それで。俺がしたかったんだから」


 棗が絵衣理に抱き付く。


「へへー」


 絵衣理が照れながら、笑う。


「お揃いだあ」


「うちの学校が校則ゆるくて良かった」


「え、人前で見せていいの?」


「人前で見せるんです。男よけです」


「私、もてないよ?」


「・・・」


 棗はあえて、答えなかった。


 ひょい、と絵衣理の左手を持ち上げ、見た。


「あー・・・」


「ん?」


 棗が後ろから絵衣理をぎゅっとする。


「いつか、本物あげるから。待ってて」


 耳元で囁かれた。

「終わったー」


 絵衣理の部屋に、棗を入れて、一息ついた。


「はい、これ」


「ありがとう」


 絵衣理は棗からペットボトルを受け取る。


「大祭までまだちょっと時間あるね」


「ちょっと休憩しよう」


「あー、もう、1年たつんだね」


 絵衣理がにこにこしながら言う。


「ナツ君と出会って。ちょうど大祭、誘ってくれたねえ」


「・・・そうだね」


 なんだか気恥ずかしい。


「・・・そういえば」


「ん?」


「あの大地って子?」


「大地がどうかした?」


「あの・・・可愛いね」


「でしょー?」


 絵衣理が笑顔で言う。


「昔は女の子に間違われてたんだよー。肌がきれいで、目ぱっちりで、唇もぷっくりしてるし。今、それいったら、ぶーたれるから、言わないけど。かわいいでしょー」


「絵衣理にとって、大地君は?」


「ん?ツンデレ」


「は?」


「いっつもぶすくれてるわりには、今日みたいに祭にはきちんと参加してくれるし、後片付けまできっちりこなしてくれるし。中学時代はなんやかんやと後輩の世話やいてたみたい。慕ってる子、多いんじゃないかなあ」


「そう」


「昔はねーエリーねえ、エリーねえって言って、私のあとついてまわってたんだけどね」


「エリー?」


「絵衣理がうまく言えなかったみたい」


「大地君って好きな子とかは?」


「あー・・・どうなんだろう」


 絵衣理はううん、と考えた。


「聞いたこともなかったなあ」


 棗は苦笑した。絵衣理は気づいていない。


(まあ・・・いっか)


「私、準備してくるね~」


 絵衣理が部屋を出て行った。


 

 

 30分ほどして


「ナツくぅん」


「どうした?着付けうまくできなかった?」


「着付けはうまくいったんだけど」


 絵衣理が棗の前でくるんと後ろを向く。


「ここ、ピンがうまくささらない」


 絵衣理は髪をお団子にしていた。普段はおろしているせいか、絵衣理はあまり髪の扱いになれていない。


「ああ、ここ。こっちもついでに直しとく」


「ん、ありがとう」


「絵衣理、手先は器用なのに、こういうの、苦手だよね」


「なんかねー髪が言うこときいてくれない」


「サラサラだからなあ、逆に言うこときいてくれないのかもなあ」


 棗は器用に髪を仕上げていく。ついでに、ちゅっと首筋にキスをした。


「もうっ」


「はい、出来上がり」


「はーい」


「あ、ちょっと待って」


 棗はシャツを脱いで、タンクトップ1枚になった。


「なんで?」


「暑い」


「そ・・・」


 絵衣理は目をそらす。


「ん?どうした」


 棗はにやにやしながら、絵衣理に近づく。


「なんでもないっなんでもない」


「絵衣理、いつまでたっても照れるね」


「だって、慣れないもん」


「はいはい」


 棗は絵衣理の顎を持ち上げ、キスをした。


「・・・グロスついちゃうよ」


「あ、本当だ。珍しく化粧してる」


 棗がじぃっと絵衣理を見る。


「あんまり見るなあっ」


 絵衣理は叫んだ。


 

 

「綿あめあるかな」


 絵衣理は棗と手を繋ぎながら、るんるんと歩いていた。


「そうだ、強化合宿、どうだった?」


「どうだったって・・・勉強してただけだったからなあ」


「ラブ的なとか」


「あー・・・なんかうちのクラスのバカが女子部屋に侵入って騒いでた。俺寝てたから知らないけど、起きたら、説教かませられてたから、失敗したんじゃないかなあ」


 絵衣理が声を上げて笑った。


「うちらはねー、恋バナ咲かせてたよー。私、その時は好きな人いなかったら、聞いてるだけだったけど。いやあ、最近の高校生は聞きごたえがあるねえ」


「そうなの?」


「いや・・・進んでると言いますか。皆、結構あけっぴろげ」


「絵衣理はそういう話するの?副生徒会長とかと」


「しないよっ」


 絵衣理は顔を真っ赤にして、怒る。


「はしたないっ」


 いつもの文句がきたので、棗は笑った。

 

 

「相変わらず、多いねー」


「絵衣理」


「ん?」


 棗が腕を出す。


「腕、掴んでて。人が多いから」


「はあい」


 絵衣理は嬉しげに腕を組んできた。


 素直に聞くのは、珍しい、とちょっと棗は思った。手を繋ぐのは絵衣理は好きだが、下校途中、腕を組む、となると恥ずかしがってしない。


「ナツ君は何がいい?」


「クレープかなあ」


「あ、クレープもいいなあ。綿あめも入るかなあ」


「まあ、入るでしょ」


 そこで、絵衣理が、あ、と言った。


「大地だっ」


 絵衣理の声に、大地が気付く。


「大地、友達と来てたんだあー」


 絵衣理がにこにこと話しかける。大地は憮然としていた。


(・・・まあ、可愛いわな)


 整った顔。誰かに似ていると思ったら、生徒会長の聖に似ているのだ。あっちは超絶美形だが、顔の系統が似ている。身長もそんなに高くなく、下駄をはいている絵衣理よりも背が低い。


「もう、なんだかなあ」


 絵衣理がぷりぷりとしながら、言った。


「こっちが問いかけてもあー、とかふーんしか言わないんだもん」


「・・・反抗期じゃない?」


「だよねー。でも長いんだよねー。中2くらいからかなあ。急にそっけなくなってさあ」


 絵衣理はちらっと棗を見る。


「ナツ君も反抗期あった?」


「あ・・・まあ、あーどうなんだろう。仕事してたからなあ。うち、父親いないだろ?それで負担・・・というか、迷惑かけてるのがわかってたから、あんまりなかったかなあ」


「いい子だ」


 絵衣理がぽんぽん、と腕をたたく。


「あ、クレープ屋あった」


 絵衣理が嬉しそうに言った。


 

 

「あー食べたねえ」


「俺、まだ入るよ」


「は?すごいっ。なんか食べる?」


「んー、まあ、いいかなあ」


「あ。今何時?」


6時くらい」


 絵衣理が慌てる。


「ナツ君、仕事っ」


「今日はいいの」


「いいの?」


「強化合宿でやった最後のテストが点数よかったんだ。だから今日は9時まで
OK


「本当?」


 絵衣理は嬉しそうに言う。


「ふふー」


 絵衣理が腕をぎゅっとする。


「強化合宿でナツ君に会えなくて、ちょっと寂しかったからさー。嬉しい」


「お、素直に言うようになってきたな」


「ナツ君の前だけだよ。もうちょっと回る?」


「疲れたから、絵衣理んち行きたい」


「いいよー、あ、新作の漫画があるよ」

 友人おすすめの「東京タラレバ娘」を読書中。

 うーむ、おなごが3人でつるんでるんですけど、皆ドツボにはまってる状態(3巻まで出てる)。

 結婚してる私としては「あーあ」って感じだけど、独身者、特にアラサーには結構「くる」作品みたいで。

 私は結婚願望なかったからなあ。なんか大学時代から付き合ってる人達からは結婚しよー言われてたけど、・・・酒飲めない人達だったからなあ(そこか)。私、人見知りするから最初はおとなしいんですよ、それに服に興味なかったから、おかんセンスでかわいー系の服ばかり着てて、好きになる人、皆勘違いから入ってた。「おとなしそう」「女の子らしそう」とか・・・(笑)

 それでつきあってみて、蓋をあけてみれば、酒のみ、おおざっぱ、男らしすぎるとか「なんか違う」と言われていた。

 唯一言われなかったのが今の旦那だったので、結婚したってのもあるかな。今の旦那、いろんな女見てきたから、だまされない(私はだましてない)、惑わされない(私は今まで惑わした気はない)

 話それたけど、結婚ってそんなにいいのかなあ。同棲生活が長かったし、子供作る気ないから、うーむ・・・。だって両家の親が絡んでくるんですよ?親だけじゃなくて、親族も。特に私んとこはおとんが長男で、兄弟多くて、そのせいで従兄弟も多くて、その結束が強いから、盆とか正月に集結して、当然旦那も、行かないといけなくて、・・・カワイソウだなあとか思ってます。墓とかも絡んでくるし。

 旦那のご両親は私に優しくしてくれるので、大好きですが、結婚って、そういうことだよ?二人だけの問題じゃないんだよ?なんか「たられば」は自分の結婚が中心で焦ってる様が書いてあるけど、実際はそうじゃないんだよ。

「結婚」が決まった時点で、血族が絡んでくるんだよ。うっとうしいとか言ってらんないんだよ、家族なんだからさ。盆、正月の折角の休みに友達とウェーおひさ~とかいってらんないんだよ。年取ると段々それが増えてくるんだよ。死人が増えてくるから。

 特にうちは(私の実家ね)は漁港で、血縁と地縁がまじりあって深くかかわってる地域で、当主(じぃじ死んだから長男のおとん)は縁ある人の仏を参りに回り、嫁(おかん)は実家の仏様を参りに来る人達のおもてなしをしなくてはならず、くそあついボロやに8/13~15すべて詰めるという悲劇。今は両親元気だからいいけどさあ・・・うち、弟いるけど(これが長男、次の当主)、年離れててまだ22か23だし。「家を継ぐ」って自覚ないし(盆すら帰ってこない)。ってかさあ、継ぐもんなんて仏さんくらいなんだからさあ、もう永代供養にしようよう(泣)私の代まで問題こさえんなよ。

 実は、弟ができるまで私が長男(父)の唯一の子供(娘)だったので、この家は婿養子か?と子供ながらに思ってた。ってか、女しか生まなかったせいでおかん、ばばあに苛められてた。そして私も苛められてた。弟が出来た途端、ころっと態度変わった。だから私はいまだにばばあは嫌い。じいじは大好きだったけど。弟生まれるまで、私は結婚せずにこの家を潰すって本気で思ってた。ってか、じいじも婿養子だし、ばばあは後家さんだし、この家の血、絶えてね?残ってんの先祖の血?と思ってしまう。まあ、おとん達が一応前妻さんの子だし、その孫だから血は絶えてないのかな(女系だけど)。どうも、おとんの血縁は男が生まれにくい家系みたいで。女が多い。おとんの兄弟もそうだし。それなのにおかんをいじめたばばあを私は許せん。まじボケて死に絶える前にうちが絶える姿を見てほしい、と思う。資産家でもなんでもないビンボー漁師で、守るもんは仏様だけなのに跡継ぎ云々まじうぜえんだよ(怒)子どもこどもうるせーんだよ(超怒)私が生んでも私はもう旦那側の人間だから、関係ねーし。弟に言えっ。

 っつーか、なんでしょうね、うち、超ど田舎だから、昔役場に就職したときは「役場でいい人を見つけろ」結婚したら、「こどもこどもこどもこどもこどもこども」。ほっとけって。(両親に言われたことはない。言うのは血の薄い親戚ばかり)

 ってことが「たられば」には書いてないから、まだまだだなあ、とちょっと思う。実際はもっとどろどろしてるって。

 絵衣理と棗が付き合うようになってから、初めての夏。

 
 試験が終わり、夏休みが始まると、棗は仕事の時間まで、絵衣理の部屋へ通うようになった。しかし、絵衣理の勉強の邪魔はしない。絵衣理は受験生だ。上位の大学の推薦を狙っている。だから、通常の成績はもちろん、2学期の成績も重要視されている。だから、棗もそれをわかっていて、邪魔をしない。絵衣理が与えた課題を、黙々とこなしていた。しかし3日にいっぺんは


「やっぱり栄養補給が必要っ」


 といって絵衣理を押し倒す。


 棗が緑葉学園恒例の勉強強化合宿に行って帰ってきた、翌日。


「やきそばいかがですかー」


 絵衣理は焼きそばを売っていた。


 絵衣理の住むマンションでの夏祭り。高校生たちは焼きそばを担当している。


「あっつーい」


 絵衣理は叫ぶ。


「いつも部屋にこもってるからだよ」


「受験生なんですっ」


「彼氏連れ込んでるくせに、何の勉強だか」


 雪がぼそりという。


「あんたたちみたいに万年ひっついてないわよ」


「なんだよー、俺らがサルみたいにやってるとでもいうの?」


 下準備をしている達也が後ろから声を投げる。


「似たようなもんじゃん」


「これでも遠慮してるんだぜー。絵衣理ねえの部屋来るの」


「あったりまえですっ今までが来すぎ」


「ってか、絵衣理ねえも下品。今年は大地がいるんだよ?」


 雪が釘を刺した。


「あ。そういえば、ごめん」


 ぶす、とした表情でもくもくとキャベツを切っている男の子がいた。


「大地もなー男だもんなーこんくらい平気だよなあ」


 達也がからかうように言う。


「・・・うっさい」


 大地がぼそりと言った。


「あの無愛想さ、なんとかならんかねえ」


 雪が呆れながら言った。


「反抗期なんでしょ。ほうっとけ」


 絵衣理は気にせず、焼きそばを焼き始めた。


「絵衣理」


 その声に、絵衣理はぱっと顔を上げる。笑顔になる。


「ナツ君っ。本当に来てくれたんだ」


「約束だし。これ、差し入れ」


「わーい、ありがとう」


「売れ行きは?」


「順調。終わる前には売り切れるかな」


「あ、絵衣理ねえの彼氏だ」


 雪と達也がやんやという。


「みせつけてんじゃねーぞー」


「ねーぞー」


「あのねー。ナツ君、手伝いに来てくれたんだよっ」


「へ?」


「去年の様子見て、大変だろうからって、手伝いにきてくれたのっ」


「まじでか?!」

 達也と雪が手のひらを返したようにへりくだった。


「それは、ありがとうございますー」


「お暑い中、ご苦労様ですー」


 棗が笑う。


「ごめんねー。いつもが万事、こんな調子なんだ、この二人」


「いや、楽しい」


「そ?」


 そこで、絵衣理は大地の視線に気づく。


「あ、ナツ君。この子ね、今年から1年なんだよ。大地っていうの」


「へえ、こんにちは」


「・・・こんにちは」


 大地はぼそぼそっと言った。


「あー、もう、大地」


 絵衣理が呆れる。


「ごめんね、この子愛想がなくて」


「俺もこんなもんでしょ」


「そうでもないよー。ナツ君、笑うところは笑うし」


 そこで絵衣理は、あ、と気づいた。


「ナツ君、クラス、
Hだったよね?」


「うん」


「大地も
Hなんだ。強化合宿でどっかであってたかもねっ」


 絵衣理ははしゃいでいう。


(・・・うーん)


 棗は絵衣理に笑いかけながら、大地の視線を受けた。


(これは、単なるガン付きじゃないかな)


 棗はまあ、と気にしないで、焼きそばづくりに取り掛かり始めた。

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